仲間のたまり場カフェを目指して 団塊夫婦の楽しく新しい挑戦
左から日高さんと妻の和子さん、右から馬場さんと妻の万里子さん
窓際の席に腰を下ろすと、紺碧の海が迫ってきました。ここは、福岡定番のドライブコース、志摩町岐志の伊都ハイランドパーク正門横にある「ベイサイドカフェ」。子育ても終え人生のひと区切りを迎えた夫婦が、次なる人生を豊かに送りたいとの思いを込めて始めたお店です。「人の出会いを紡ぎたい」という二組の夫婦の、あくまでマイペースな挑戦をご紹介しましょう。
●意気投合して始めたカフェ
総合化学会社を早期退職し、故郷・糸島に戻って地域のことも考えるようになった日高榮治さん。東京で銀行員を勤め上げ、糸島の地でその後の人生を模索していた馬場邦彦さん。二人は第二の人生を考える人たちのネットの会「新現役の会」を通じて知り合い、人生に向き合う姿勢に共感。「新現役の会糸島」を立ち上げ、ともに活動を始めました。それが海の見えるコミュニティカフェ「bayside cafe」の運営です。
場所は伊都ハイランドパーク正門横のプールレストラン。平成十九年秋から四組の夫婦で始め、試行錯誤を経て今年四月から日高・馬場両夫妻で再スタート。
「夫婦二組と応援してくれる女性二人とで頑張っています。定番メニューは男性のお手製薫製のアフタヌーンティーセット。素材は地元の産直市で買い求めた鶏や豚、チーズで作ります。そのほかパン・スコーンなどの料理やケーキ、デザートは奥さんたちが担当。コーヒーも選び抜いた特製ですよ」と日高さん。
そして、何よりのもてなしは、目前に広がる引津湾の青い青い海です。
「一日中海を見ているだけで飽きません」と日高さんの妻、和子さん。馬場さんの妻、万里子さんは「仲間と料理したり、お客さまと会話するのが楽しい」。それぞれが、カフェの運営を楽しんでいます。
目の前に引津湾が広がるオーシャンビューのカフェ
●自然豊かな糸島でみんなの夢が融合
カフェには大きな目的が一つ。目指すは「仲間づくりと癒やしのサロン」、くだけて表現するなら「地域のたまり場」です。
「いま、リタイアした後に家に閉じこもる人も多いと聞きます。でも、誰もがきっとやりたいことがあるはず。ベイサイドカフェのような、仲間と語り合う場があれば、一歩踏み出せます」(日高さん)
カフェでは積極的に催しを開き、参加を呼び掛けています。その内容は、薫製やステンドグラス、コーラスといった仲間の得意分野を生かした教室だったり、ミニコンサートだったりと、さまざま。
「今日、人生経験豊かな者同士が学び合う地域のコミュニティカレッジをつくろうと、構想を練り始めたところ」と笑う夫二人。「こうして語り合えば実現の道も見つかるんです」と続けました。
●一丁やったろかの気概をもって
経営は順調とはいえません。月単位で、売り上げから経費を引いた額を分けますが、冬季は時給二百円という月も。しかし、日高さんは「継続が大切。お金には換えられないものがあります」。
そう語る目線の先には、糸島の海…。糸島の豊かな自然には、それぞれの思いを引き出し、融合させる何かがあるのでしょうか。
馬場さんもその一人ですが、糸島に魅せられて移り住む人は多く、皆さんは「なぜか引きつけられる“糸島マジック”」と呼んでいます。糸島という土地でなければ、彼らの出会いはなかったのかもしれません。
「定年退職は“一丁上がり”ではなく、定年を迎えてからが“一丁やったろか”。その後の二十、三十年という人生を楽しみたい。地域とつながり、人に必要とされなければ、やり甲斐にはなりませんよね」(馬場さん)
団塊夫婦のカフェ奮闘記は続きます。
看板メニューのアフタヌーンティーセット(1000円)。すべて皆さんの手作り
bayside cafe
福岡県糸島郡志摩町岐志1511-1
電話 092-328-3300
http://itoshimabaysideclub.com/
PROFILE
■日高榮治(えいじ)/1946年、旧満州生まれ、福岡県糸島郡岐志育ち。
18歳で糸島を離れ、会社勤務の後に53歳で早期退職。個人で起業する傍ら、新現役の会などの地域コミュニティに参加。
2007年に設立されたNPO法人NAP福岡センター理事などを務める。
■馬場邦彦/1947年、久留米市生まれ。
東京で銀行に勤務し55歳で定年退職、2002年に前原市へ。
NPO法人NAP福岡センター代表。
日高さんらと地域活動にまい進中。
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