赤煉瓦文化館「誕生百年祭」を
赤煉瓦文化館「誕生百年祭」を福博の近代化に触れるきっかけに
「福岡市赤煉瓦文化館」は、二〇〇九年二月に誕生百年を迎えます。建物の百歳を祝うべく、有志が市民の会を結成、記念イベントに乗り出しました。その会長を務めるのは、“郷土愛の人”長谷川法世さん。
どんな思いをもって、博多部から橋を渡ってやって来るのでしょうか。
●博多部を意識したデザイン。その真意は?!
「福岡部のことは知らんから、勉強したよ」
そう笑う法世さんですが、“法世流赤煉瓦文化館の成り立ちの解釈”は、実に想像力の豊かさを感じさせるものでした。
一九〇九年(明治四十二年)に、日本生命保険株式会社九州支店の社屋として竣工。場所は、那珂川を境にした商人の町・博多部と城下町・福岡部をつなぐ、西中島橋のたもと。江戸時代の唐津街道であり、敵の侵入に備えた枡形門があって、福岡藩の入口でした。また、福岡が市になったとき以来、道路の起点(現在の西中洲公園内)の前でもあります。
「当時の一等地ですよ」法世さんは続けます。
「福岡部の建物なのに、玄関は、経済的に優勢だった博多部を向いとるでしょう。でも、建物はいろんな方向を向いてる。あらゆる方向に目を配り、生命や財産を守りますという気概の表れかな? 当時、この場所を選んで社屋を建てた日本生命の人たちの意気込みを考えると面白い」
竣工から百年。曰く「百年もたつと、建物も人格をもったキャラクター」になりましたが、この建物が東京駅の設計で有名な辰野金吾の作品で、国の重要文化財だということは意外と知られていません。
「町の人々にとっては当たり前すぎる存在なのでしょうが、今の福博の発展を表す建築物の一つ。百年という節目の年を、故郷の歴史や文化に触れるきっかけにしたい」と語ります。
●文化を選ぶ楽しみ
法世さんは博多部生まれの博多部育ち。上京して漫画家となり、『博多っ子純情』などのヒット作を生み出しました。
「人は生まれた土地で次の世代を生み育て、文化を引き継ぐもの」と語る法世さん。帰郷して以来、自らが博多の文化を引き継ぐ担い手に。町に残る古い建物についても「現存するものは残していこう」と呼びかけます。
「壊すのは簡単。でも、壊して新しい建物を建てたとして、再び百年も親しまれる建物が出来るのか。スクラップ&ビルドの時代だからこそ、いろんな建物があった方がいい。文化を選べる街がいいよね」
「誕生祭」では、来年一月二十四日(土)に行われる「誕生百年祝賀式典」に向けて、写真展や、町歩きイベントなどを連続的に催し、福博の百年を見守ってきた建物を維持し活用していく大切さをも伝えていきます。
…そう書くと難しそうですが、想像力豊かな法世さんにかかると、やはり、面白くなるのです。
「日本が鎖国を解き、海外の文化を取り入れ始めて、明治四十二年には立派に日本人の建築家が育っていた。でも、当時はレンガの建物なんて珍しかったろうから、現場で働いた職人は不思議やったろうね。“何やこの箱みたいな石は。どげんなるとや”そんな声が聞こえてきそうじゃない?」イベントは十月からです。
PROFILE
長谷川 法世 1945年、福岡市博多部生まれ。福岡県立福岡高校卒。68年に『正午の教会へ』で漫画家デビュー。代表作に『博多っ子純情』(第26回小学館漫画賞受賞)、NHKの連続テレビ小説『走らんか!』の原作など。現在「博多町家」ふるさと館館長のほか、博多町人文化連盟理事長を務めるなど、まちづくりや地域文化継承に尽力している。06年に福岡市文化賞、07年に福岡県文化賞を受賞。
「赤煉瓦文化館誕生100年祭」イベント情報
●赤煉瓦オープンカフェ
【日時】10月4日(土)—5日(日)午前11時—午後6時
赤煉瓦文化館の雰囲気ある中庭にカフェをオープン
【入場料】無料(飲食費別)
●「街を彩る赤煉瓦」展
【日時】10月11日(土)—19日(日)午前10時—午後8時
(最終日は午後6時まで)。赤煉瓦文化館2階
【入場料】無料
写真家・藤本健八さん撮影の同館の写真パネル展示など
<イベントの問い合わせ先>
福岡市赤煉瓦文化館「誕生100年祭」市民の会
Eメール info@akarenga100.jp
※イベントの詳細はホームページをご覧ください。
http://www.akarenga100.jp
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