ホームレスの自立を応援する「ビッグイシュー福岡サポーターズ」
「ビッグイシュー福岡サポーターズ」は二〇〇七年に結成されたホームレスの自立を応援する市民ボランティアグループ。発起人の一人である福岡救世軍の牧師、齋藤美作さん(69)に活動内容についてお話を伺いました。
ホームレスだけが販売できる雑誌「ビッグイシュー」は一九九一年に英国で誕生。ホームレスに仕事を提供し、自立を支援することを目標に、現在世界七か国で出版されています。
日本版が創刊されたのは二〇〇三年の大阪でした。表紙に著名人を起用してインタビュー記事を掲載。彼・彼女のほとんどが無償で取材に応じています。また、社会問題から映画・コンサート記事まで、幅広く読み応えのある内容で人気が拡大。発行は月二回。東京や京都など、十二都市で販売されています。
福岡では、現在四人のホームレスの人たちがほぼ毎日、天神やJR博多駅周辺の街角に立ち「ビッグイシュー」を販売しています。定価は三百円。このうち、仕入れ値を差し引いた百六十円が販売者の収入になります。
こうした販売を支援しているのが「ビッグイシュー福岡サポーターズ」のメンバーたち。福岡救世軍の牧師を務める齋藤さんが同救世軍小隊会館(中央区平尾)を「ビッグイシュー」の取り次ぎ場所兼事務所として開放したのをきっかけに、大学生や大学教授、会社員、主婦ら約四十人のメンバーが集まって二〇〇七年に結成しました。
広報活動やチラシ配布、イベント会場の出店の交渉、販売場所の確保、販売者への「ビッグイシュー」販売方法の伝授など、活動は多岐にわたっています。
販売には、最初はボランティアが一緒に街角に立って手伝いますが、販売者の中には、知り合いに会うので恥ずかしい、一冊でも売るのは大変だからとあきらめて辞めていく人もいます。
「大勢の前で雑誌を売るのはものすごく勇気のいること。当会館を訪れるホームレスの方の悩みを聞くなかで、この仕事を紹介していますが、やってみようという人が一人、二人と少しずつ増えている状況です」
齋藤さんが「ビッグイシュー」の受け皿を作ったのも長年の経験と知識、奉仕の精神があればこそ。
「救世軍は伝統的に野宿生活者に炊き出しをして弁当を配る奉仕活動を続けています。でも配るのは週一回だけ。果たして、これが助けになっているのだろうか。そんなときに、『ビッグイシュー』を知り、これだと思いました」。ただ物資を与えるだけではなく、ホームレスの方の自立を助け、社会復帰へとつなげることができる。これが本当に必要とされていることではないのか—齋藤さんが福岡に赴任して六年目のチャレンジでした。
今では、定期的にまとめ買いをしてくれる熱心な購読者も増えました。もう一つの成果は、販売者の一人がまじめさを買われて就職できたこと。調理師資格を持っていたことも幸いしました。「彼は一年間、頑張り通しました。コミュニケーションを大切に、買ってくれた人には感謝を詩にして渡していました。頑張れば応援者が現れる。生きようという希望もわいてくる」。後に続く人たちも刺激を受けている様子。昨年十一月から販売者になった一人は「アルミ缶拾いよりも雑誌販売の方が少し収入がいい。気合を入れて、やろうと思います」と意気込みます。月一回のスタッフ会議での活発な意見交換は、販売者とボランティアの間に確かな信頼関係が築かれてきた証拠です。
こうした販売者の努力に応えようと、メンバーたちは衣類調達や洗濯などの手助けに加え、最近は住まいの確保も視野に入れて行動するようになったといいます。
現在、福岡市のホームレスは約八百人。自立という究極のゴールを目指して、齋藤さんやメンバーたちのサポートがこれからも続きます。
※「ビッグイシュー福岡サポーターズ」へのお問い合わせは092(531)7418
PROFILE 齋藤美作(さいとうみさく) 1939年生まれ。新潟県出身。15歳から菓子職人の修業。22歳、菓子職人として働いていた新潟市内で救世軍を通してキリスト教入信。礼拝に通いながら信仰と奉仕活動。3年後、救世軍の士官学校に入学。卒業後は、仙台、桐生、札幌、東京、岡山、前橋と伝導のため全国を回り、6年前に福岡に着任。「ビッグイシュー福岡サポーターズ」発足に関わる。
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
コメント 0件
記事について思ったことをコメントできます
(承認されるまではコメントは表示されません。しばらくお待ちください。)

