劇団「海流座」を旗揚げし、地方を旅する米倉斉加年さん。

博多座五月公演『放浪記』に出演していた米倉斉加年(まさかね)さんが、七月三日に八女市、四日に熊本県山鹿市、五日に春日市、六日に岡垣町で、昨年旗揚げしたばかりの劇団「海流座」の公演を行います。演目は昨年の東京での旗揚げ公演と同じ『父帰る』と『二十二夜待ち』。米倉さんに、今回の公演に寄せる思いを伺いました。

●海流のように自由な活動がしたい

長年「劇団民藝」の看板俳優として活躍してきた米倉さんが、民藝を退団したのは六十五歳のとき。もっと地方に出かけ、身軽に活動しようと考えてのことでした。昨年七十三歳で、「このままでは死ねない気がして」旗揚げした劇団「海流座」を率いて、地方公演を続けています。

「人間の生きる場所は何にも縛られないのが本来のあり方だと思うんです。海流には国境がありません。海流に乗って移動する魚のように人間は自由でなければいけないと、劇団も『海流座』と名付けました」

演目の『父帰る』と『二十二夜待ち』は、米倉さんにとって、福岡中央高校在学のころに「初舞台」で演じたという思い出深い作品。実に五十七年ぶりのふるさと再演です。

米倉斉加年さん

なぜ、今この作品なのでしょうか? 米倉さんは語ります。「二作品の中には、“このままでは死ねない気がした”という思いを支える根源があると思ったからです。新しいものは、古いものより生まれる—そんなことを考えながら稽古してきました」

PROFILE
米倉斉加年(俳優・演出家・画家)1934年、福岡市生まれ。1957年、劇団民藝水品演劇研究所に入所し宇野重吉に師事。2000年、劇団民藝退団。2007年、劇団「海流座」旗揚げ・主宰。役者として映画・テレビ・演劇に出演するほか、演出も手掛け、画家としても国際展で受賞するなど多才。福岡県とのかかわりは深く、各地で講演や朗読会を精力的に行っている。
http://www.masakane.jp/

菊池寛作『父帰る』は近代的な家族が成立した明治時代の話。出奔していた父が二十年ぶりに帰って来たとき、葛藤する家族の姿を描いています。木下順二作の『二十二夜待ち』は村というコミュニティーに入り込んできたならず者と、村人に取り残された年寄りと青年との一夜を描く民話劇。「それぞれ、家族のあり方や弱者排除という現代の社会問題そのものを含んでいます」と米倉さん。

●一般公募で募った 市民も参加

春日市では、今回の『二十二夜待ち』に村人役で出演する一般の参加者を公募しました。集まったのは、春日市、大野城市、福岡市、前原市在住の八歳から七十五歳まで十三人のみなさん。演劇経験者はわずかに三人で、ほとんどの方は初めての体験です。

東京での公演の様子。都民たちも参加

春日市ふれあい文化センターで行われた公開練習は、五月二十五日と六月七日の二回。米倉さんの息子で、演出家・俳優の上野日呂登さんが指導を行いました。

第一回目の練習は、演劇についてのレクチャーから台本読みまで。上野さんから、偏見を持たずに台本を読み込むことの難しさと面白さを教わりました。参加者の一人で最年長の竹中照子さん(南区在住)は「米倉さんのお芝居を見て感激して、ぜひ間近で見させてもらえたら、と思ったんです。台本読みは楽しくて、参加してよかった」と生き生きと語ります。終了間際に、練習場に米倉さんが顔を見せたことは、参加者にとってうれしいハプニングでした。

春日市公演の市民参加者の皆さんと

「演劇は楽しいものです。感じるままに、自由に動いてください。観客席と一緒に、私たちを応援してください」と米倉さんが語りかけ、参加者はうれしそうに顔をほころばせていました。

春日市の本番は七月五日(土)。生の舞台の素晴らしさに接することができるこの機会をお見逃しなく!

米倉斉加年主宰 劇団「海流座」公演
演目:菊池寛作『父帰る』 木下順二作『二十二夜待ち』
平成20年7月5日(土)13:30開場 14:00開演
春日市ふれあい文化センター スプリングホール
前売3000円 当日3500円 全席自由
※小学生以下は入場無料
お問い合わせ/
春日市ふれあい文化センター
092(584)3366

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