「食の世直し」を目指して始めた農産物の直売店。連日、大にぎわい。

食のゆがみを正したい。そんな思いから農産物直売店「ぶどう畑」を仲間と一緒に開いた農家の主婦、新開さん。子どもたちの食の教育や講演活動で全国を走り回っています。

新開玉子

PROFILE 新開玉子 1944年生まれ。79年からブドウと梅の産直を始める。86年に女性農業者の「みな月会」結成。91年、福岡県女性農村アドバイザー一期生に。98年、福岡県指導農業士に。99年に「みな月会」の仲間五人で「ぶどう畑」開店。2003年、農水省食料・農業・農村政策審議会委員になる。08年4月から月1回「農業塾」を開講。

●農家の主婦たちが始めた直売店

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春キャベツや豆類、新ジャガ、タケノコなど季節の野菜であふれる農産物の直売店「ぶどう畑」=南区中尾=。総菜や漬け物、ジャムなどの加工品もずらりとそろい、毎日開店の午前十一時になると、お客さんがどっと押し寄せます。

この直売店は新開玉子さんをはじめ農家の主婦五人が家族の協力を得て、ぶどう畑の一角に一九九九年にスタートさせたもの。農産物や加工品は、九州一円の信頼のおける生産者から届けられたものばかりです。「スーパーや八百屋さんより種類が豊富。土づくりや肥料からこだわって、手間ひまをかけて作った農作物なのでおいしいですよ」と新開さんは胸を張ります。

●お客さんからの感謝の声が喜び

日本の食料の自給率が減り、食料を外国に依存するようになって、日本の食がだんだんゆがんできたといわれます。そこで、立ち上がったのが新開さんとその仲間たち。「農家のおばちゃんができる『世直し』の拠点となる直売店を作ろうと思ったんです」。

イベントの朝市などでの農産物の販売の経験も豊富にあった新開さん。直売店を作るため、家族の了解を得ようと夫に相談してみたものの反対され、説得するのに二年かかったとか。

直売店を始めて、最初は一年間のリズムを作ることに苦労し、五キロやせてしまいました。それでも「野菜がおいしい」「健康になった」「食事が楽しくなった」との声を聞くと始めてよかったと思うそうです。「お客様と生産者の絆が感謝で結ばれる店」を目指して、業績も順調に伸びています。

●「心と技とヘソクリ」の自分磨き

「起業したのは私が五十四歳の時。子育てが忙しい時期は、『心と技とヘソクリ』の自分磨きに努めました」。忍耐力のある心。
梅干作りなど、農産物以外の商品を生み出す技。そして、いざというときのためのヘソクリ。「何かを始めるのに急ぎ過ぎることはありません」と、若いお母さんにエールを送ります。

実は新開さんは若いころは、農業が嫌いでした。「子育てと農業は同じだと気付いたら好きになりました。人間も食物も手をかけないといいものができません。手入れをサボるとしおれるというサインを出し、成長が止まります。手抜きはできないという心の勉強になりますね」。

●四月からスタートする農業塾

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「ぶどう畑」では幼稚園で田植え、お団子や梅干の作り方、小学校で田んぼ起こしから米や野菜の作り方などを指導し、中学生の職場体験の受け入れも行っています。

「食物作りを体験すると、どれだけの日数と手間がかかるかが分かります。体験を通して、残さず食べるという習慣も身に付くはずです」。「ぶどう畑」は食を教える役割も担っています。

四月から農業に関心のある方に向けた農業塾が、直売店の二階のホールで行われます。「農作業をすればくたびれるので熟睡でき、自分で作った安全な食物を食べるのは健康にいいですよ。農業は五十歳から始めても決して遅くはありません」と熱く語ってくれました。

●ぶどう畑/福岡市南区中尾二ノ一ノ一 092(512)5020

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